「86にオープンカーモデルがあれば良いのに」と考えたことはありませんか。スポーティーな走りと開放感を両立した一台を想像し、86オープンカーの情報を探している方も多いでしょう。しかし、情報を探す中で、市販されていないコンセプトカーであることや、姉妹車であるbrzの存在、中古での値段、さらには改造の楽しさなど、様々な疑問が浮かんでくるかもしれません。
また、仮にコンバーチブルモデルが存在した場合、電動開閉ルーフで4人乗りを実現したのか、そもそも86とBRZの中古だとどっちが安いのか、といった具体的な問いも生まれます。クーペモデルの絶大な人気な理由などといった性能面への関心も尽きないところです。この記事では、そんな幻のモデルの正体から、今現実的に狙えるクーペモデルの魅力、そしてオープンカーの代表車種は何かということまで、あなたの疑問に多角的に答えていきます。
幻の86 オープンカー、その正体とは?

市販されなかったコンセプトカーの存在

多くのファンが市販化を熱望した86のオープンカーですが、これは実際に市販されたモデルではなく、将来のスポーツカーの可能性を探るスタディモデルとして製作されたコンセプトカーです。この一台は、多くの人々の記憶に強く残っています。
2013年のジュネーブモーターショーで世界初公開された「FT-86 Open concept」がその正体です。当時、ベースとなった初代86の発売から約1年というタイミングでの発表だったため、市販化への期待は非常に高まりました。しかし、様々な要因から残念ながら市販には至らず、文字通り「幻のモデル」として語り継がれることになったのです。
このコンセプトカーは、単なるデザインモックアップではありませんでした。実際に走行可能なレベルで作りこまれており、その完成度の高さが、かえってファンの「なぜ市販しなかったのか」という思いを強くさせる一因になったと考えられます。
電動開閉ルーフで4人乗りを実現した設計

FT-86 Open conceptの大きな特徴は、クーペの流麗なフォルムを維持しながら、電動開閉式のソフトトップを備えていた点です。これにより、クーペの魅力とオープンカーならではの開放感を両立させていました。
開閉機構とデザイン
ルーフはボタン一つでスムーズに開閉し、トランクスペースへと格納される設計でした。幌を閉じた状態ではクーペと見紛うほどの美しいルーフラインを保ち、開ければ空との一体感を楽しめるスタイルへと変貌します。特に、ルーフからトランクへかけて滑らかにつながるデザインは、エレガントささえ感じさせます。
室内空間
ベースの86が持つ2+2のシートレイアウトはそのまま継承されました。つまり、4人乗りが可能なオープンカーとして設計されていたのです。後席は決して広くはありませんが、いざという時に人が乗れる実用性は、2シーターオープンカーにはない大きなメリットとなります。ホワイトを基調とした内装や、アクセントとして使われたイエローのステッチなども、コンセプトカーならではの華やかさを演出していました。
スバルにもあった?brzオープンカー計画

86とBRZは共同開発された姉妹車であるため、「BRZにもオープンカー計画はあったのでは?」と考えるのは自然な流れです。しかし、公式にBRZのオープンモデルがコンセプトカーとして発表された事実はありません。
86のオープンコンセプトがトヨタ主導で開発されたこともあり、スバルブランドでの展開までは具体化しなかったと見られます。ただ、水面下で様々な検討がなされた可能性は否定できません。自動車メーカーは市販を前提としない多くのスタディモデルを製作するため、その中の一つとして存在した可能性も考えられます。
いずれにしても、BRZのオープンカーが公の場に姿を現すことはなく、86同様、ファンにとっては夢のモデルであり続けています。もし登場していれば、両車のキャラクターの違いがオープンモデルでどう表現されたか、興味深いところでした。
FT-86オープンという名のコンバーチブル

前述の通り、この幻のモデルの正式名称は「FT-86 Open concept」です。「コンバーチブル」とは、屋根を開閉できる乗用車の総称であり、このコンセプトカーはまさにその特徴を備えていました。
このモデルは、単にクーペの屋根を切り取っただけの安易な改造車ではありません。オープン化に伴うボディ剛性の低下を補うため、フロアやピラー周辺には専用の補強が施されていたとされます。また、フロントウィンドウのフレームもクーペとは異なる専用設計となっており、市販化を強く意識した作り込みが随所に見られました。
モーターショーでは、ジュネーブで発表された左ハンドルのホワイトボディ仕様に加え、同年の東京モーターショーでは右ハンドルのフラッシュレッド仕様も公開されました。このように複数の仕様が製作されたことも、市販化への期待を煽る一因でした。
86とBRZオープンカーはどっちが安いかという問い

「もし市販されていたら、86とBRZのオープンカーはどちらが安かったのか」という疑問は、両車のファンなら一度は考えるテーマかもしれません。しかし、これはあくまで仮定の話となります。
両車ともに市販されなかったため、実際の価格を比較することは不可能です。もし市販されていた場合を想定すると、ベースとなるクーペモデルの価格設定に準じた形になったと考えられます。初代86とBRZでは、装備内容によって価格が逆転するグレードも存在しましたが、概ね近い価格帯で販売されていました。
したがって、オープンモデルが登場していたとしても、両車の間に極端な価格差は生まれなかったと推測するのが妥当でしょう。最終的には、デザインの好みやブランドイメージ、細かな乗り味の違いで選ばれることになったはずです。
クーペで探す86、その人気と中古市場

クーペモデルの絶大な人気な理由は?
86のオープンカーは幻に終わりましたが、クーペモデルは初代から現行のGR86に至るまで、絶大な人気を誇ります。その理由は、複数の要素が絶妙に組み合わさっているためです。
手頃な価格で楽しめる本格FRスポーツ
最大の理由は、比較的手の届きやすい価格帯で、後輪駆動(FR)ならではの操る楽しさを味わえる点にあります。FRレイアウトは、アクセル操作で車の向きを変えるといった、スポーツドライビングの醍醐味を体験しやすい駆動方式です。このような特性を持つ車が新車で300万円前後から手に入ることは、大きな魅力となっています。
カスタマイズ性の高さ
86は、オーナーが自分好みの一台に仕上げていく「カスタム」のベース車両としても非常に人気があります。国内外の多くのメーカーから、エンジン、足回り、内外装に至るまで、膨大な種類のカスタムパーツが販売されています。これにより、ライトなドレスアップから本格的なサーキット仕様まで、幅広い楽しみ方が可能です。
スバルとの共同開発による独自の魅力
心臓部である水平対向エンジンは、スバルとの共同開発の賜物です。このエンジンは重心が低いという特徴があり、車のコーナリング性能向上に大きく貢献しています。トヨタの持つスポーツカー作りのノウハウと、スバルの独自技術が融合した点も、86が持つユニークな魅力の源泉と言えます。
気になるノーマルの最高速はいくつですか?
スポーツカーの性能を語る上で、最高速度は気になる指標の一つです。ただし、日本の公道では法定速度を守る必要があり、これらの数値はあくまで車両のポテンシャルを示すものとして捉えることが大切です。
トヨタ86およびGR86の最高速度は、メーカーから公式には発表されていません。しかし、自動車専門誌などがサーキットで行ったテストでは、おおよその実力が明らかになっています。
モデル | エンジン | 最高出力 | 最高速(参考値) |
初代 86 (ZN6) | 2.0L 水平対向4気筒 | 200PS (前期) / 207PS (後期MT) | 約220~230km/h |
GR86 (ZN8) | 2.4L 水平対向4気筒 | 235PS | 約230~240km/h |
一般的に、初代86では220km/h前後、排気量が拡大されパワーアップしたGR86では230km/hを超えるあたりが、ノーマル状態での最高速の目安とされています。もちろん、これはクローズドコースでの話であり、車の個体差やコンディション、計測条件によっても変動します。
中古で買って楽しむ自分だけの改造
前述の通り、86は改造を楽しむベース車両として非常に高い人気を誇ります。中古車市場には豊富なタマ数が流通しており、手頃な価格帯の個体も多いため、購入後に自分好みのカスタムを施していく楽しみがあります。
人気の改造ポイント
- 吸排気系: エアクリーナーやマフラーを交換し、レスポンス向上やサウンドの変化を楽しむのは定番のカスタムです。
- 足回り: 車高調やサスペンションキットを組むことで、コーナリング性能の向上や、好みの車高(ローダウン)を実現できます。
- ホイール・タイヤ: デザイン性の高いホイールに交換したり、ハイグリップタイヤを装着したりすることで、見た目と性能の両方をアップグレード可能です。
- エアロパーツ: フロントリップスポイラーやリアウィングなどを装着し、空力性能の改善と、よりアグレッシブなスタイリングを目指すカスタムも人気です。
改造の注意点
中古の86を改造する際は、車検に対応しているパーツ(保安基準適合品)を選ぶことが重要です。また、過度な改造は車のバランスを崩したり、寿命を縮めたりする可能性もあるため、信頼できるショップと相談しながら進めることをお勧めします。
高い人気を反映した中古 値段の相場
86は中古車市場でも人気が高く、価格は年式や走行距離、車両の状態で大きく変動します。特に近年は中古スポーツカー全体の価格が高騰しており、86もその例外ではありません。
2025年現在の、おおよその中古車価格帯の目安は以下の通りです。
元の情報を整理し、各モデルの価格帯(100万円〜400万円台)と特徴(年式、外装・内装の変更点、走行距離の注意点など)を視覚的に分かりやすく表示しました。
何か他の調整や追加情報があれば、お気軽にお申し付けください!
モデル/年式 | 価格帯の目安 | 特徴 |
初代 86 (ZN6) 前期 | 約100万円~200万円 | 2012年~2016年。最も手頃だが、走行距離が多い個体も。状態の見極めが大切。 |
初代 86 (ZN6) 後期 | 約150万円~280万円 | 2016年~2020年。内外装の質感が向上し、エンジンも小変更。価格と状態のバランスが良い。 |
GR86 (ZN8) | 約300万円~ | 2021年~。現行モデル。新車に近い状態の個体が多いが、価格は高め。 |
このように、初代の前期モデルであれば100万円台から狙えますが、状態の良い後期モデルやカスタム済みの車両は高値で取引される傾向にあります。購入を検討する際は、複数の販売店を比較し、車両の状態をしっかりと確認することが後悔しないための鍵となります。
今買えるオープンカーの代表車種は?

86のオープンカーは手に入りませんが、日本国内で新車購入が可能な国産オープンカーには、魅力的な選択肢が存在します。代表的なのは、マツダの「ロードスター」とダイハツの「コペン」です。
マツダ ロードスター
言わずと知れた、国産2シーターFRオープンスポーツの代名詞です。「人馬一体」をコンセプトに、軽快なハンドリングと操る楽しさを追求しています。幌のソフトトップモデルに加え、電動格納式ハードトップを持つ「ロードスターRF」もラインナップされており、好みに合わせて選べます。86と同じFRレイアウトを持つため、走りの楽しさを重視する方には有力な選択肢となるでしょう。
ダイハツ コペン
軽自動車でありながら、本格的なオープンスポーツとして独自の地位を築いています。FFレイアウトですが、軽快な走りと維持費の安さが大きな魅力です。特徴的なのは、外板パーツを着せ替えできる「DRESS-FORMATION」というシステム。気分や好みに合わせて車の見た目を変えられるという、ユニークな楽しみ方を提供しています。
これら2車種は、それぞれ異なる魅力を持つオープンカーです。86の代わりというよりは、オープンエアモータリングを楽しむための新たな選択肢として、検討してみる価値は十分にあります。
まとめ:幻の86 オープンカーとその価値
- 86 オープンカーは市販されずコンセプトカーとして存在した
- 正式名称は「FT-86 Open concept」である
- 2013年のモーターショーで世界に公開された
- クーペのフォルムを活かした電動開閉式のソフトトップを装備
- 内装は2+2の4人乗りレイアウトが維持されていた
- 姉妹車であるBRZのオープンカーは公式には発表されていない
- 市販されなかったため中古車として購入することは不可能
- クーペモデルは手頃なFRスポーツとして絶大な人気を誇る
- 人気の理由は価格、FRレイアウト、カスタム性の高さにある
- 心臓部の水平対向エンジンは低重心化に貢献している
- ノーマル状態での最高速は初代が約220km/h、GR86が約230km/hが目安
- 中古車市場でも人気が高く価格は高値で安定している
- 初代前期モデルなら100万円台から探すことも可能
- 現在購入できる国産オープンカーの代表はロードスターやコペン
- 幻のモデルに思いを馳せつつ現実のクーペや他のオープンカーの魅力を知ることが大切